道端にふと、春の野花が咲いていました。
私の友人は、何気なく咲く花が好きで、例えばどこからか種が飛んできて
アスファルトの裂け目の間から出てきた、小さくもたくましい花に感動していて
毎日、見るのが日課の一つだったようです。
ある日、その花の群れの一部が無くなっているのに気づき、彼女はとても悲しみました。
しかし、翌年、その花の近くからまた新しい芽が出て開花しました。
彼女はその花をそっと目につかぬ場所に移しました。
彼女が特に愛した春の花は、「カタクリ」の花、そして、「ヤマブキ」です。
どちらも、彼女が愛した福島県の会津の山々に自生していたのを、彼女はよく、話してくれました。
春の息吹が私の住むところにも感じられるようになった今日この頃。
ふと、アスファルトの間より咲いていた小さき花を見つけました。
彼女が他界したのも春。
桜を見ずして逝ってしまいました・・・。